montanayutaの日記

人を動かす言葉を書きたくて。鍛錬したい。

13日目

5月7日(木)

 

もし、あなたがなんだかもやもやして、むしゃくしゃしていたら、生クリームを買いに行こう。

 

決してホイップ済みのものを選んで安い快楽を得てはいけないよ。ちゃんとパックに入った液体の生クリームを選ぶ。

そして泡立てる。我が家には電動泡立て器は無いから、ひたすら腕の力で泡立てる。こんなに生クリームって泡立てるのに時間かかったっけ?本当にこれは泡立つのかな?不安はよぎるが、ひたすら泡立てる。右腕が疲れたら拙い左で。左が疲れたらまた右へと、交互にそれぞれ全力を尽くして泡立てる。

止まない雨はないように、泡立たない生クリームは無いのだ。ただ少し泡立ってきても妥協はしない。最後まできれいな角が立つまで泡立てる。

するとどうだろう、いつの間にかもやもやなことなど忘れてしまう。目の前の甘い努力の結晶を存分に味わえばいい。

季節が良ければイチゴもあっていい。それも安いイチゴにしてはいけない。甘くていいイチゴにすべきだと私の友人は教えてくれた。

ひとしきり味わったらタッパに入れて冷蔵庫に収めよう。そして甘い記憶の中で眠るのだ。

 

眠りの中でもわくわくは止まらない。なんてたって明日の朝のトーストが楽しみなのだ!

明日が仕事だろうとどんな嫌な朝だろうと、こんがりトーストの上に生クリームをのっけて食べれる朝なんて!一瞬で最高の朝に変えてしまう!

 

さて幸せなトーストを食べて出かけても、仕事というのは悲しいかな心を落ち込ませてしまうものだ。現実に揉まれ疲れておうちに帰ってくる。明日も仕事かあと寂しい気持ちになる。そんな時はあのタッパの蓋を開けよう!

蓋を開ければ、それは優美で魅惑的な曲線を描いてそこにある!柔らかさと繊細な弾力、そこに光る艶。思わず感嘆を漏らしてしまう。それは決して出来合いのホイップクリームでは現れない。あなたが泡だてきったからこそなのだ。

そして気づいてしまう。きっと今、世界のおよそ98%の人はこの素晴らしい生クリームを持っていないのだろうと!

 

特別な日の象徴とも言える生クリームを今持っているというわくわく感。生クリーム特有の、雪にも例えられるあの滑らかで柔らかな曲線の美しさ。言わずもがな口いっぱいに広がるあの不可抗力な甘さ。そして今ほとんどの人が持っていないものを持っているという圧倒的優越感。腕に残る泡立ての疲労さえも充実感を与えてくれると言えるだろう。

生クリームの持つ力は甘さだけじゃ無い。そのたくさんの魅力に溺れてしまえばいい。

 

さ、泡立てよう。

私は明日の朝のトーストが楽しみで夜も眠れないよ。

 

♫「不思議なピーチパイ」竹内まりや