10日目
5月4日(月)
「野ブタをプロデュース」というドラマが好き。あと「Q10」も好き。どちらも同じ脚本家。
似ているところは、どこか人生に冷めている男子高校生。彼のペースを乱していく相方達、ふとしたときに道標になるかもしれない言葉をくれる大人や友人。そして、主人公の一人語りによって進行するということ。
漫画家の久保ミツロウさんは育児マンガが好きだという。中でも赤ちゃんの行動がはちゃめちゃで理解不能で、お母さんがそれに振り回されながら奮闘するもの。逆に赤ちゃんに吹き出しが出ているような、語らないものに言葉をつけてしまっているものは嫌いだそう。だってそれは至って不自然で、ありえない自他境界の混合をしてしまっているから。
実際、現実は常に独白で進み、一人語りでのみ物語は展開する。
他人のことなどわからない。他人は常にエイリアンで心の中はわからないが、何気ない一言が主人公とリンクしているような気になる。
話せばその人がわかると思っていた。その人に正対し、じっくり話せば断片が見え隠れしたが、わからないことは沼のようにある。
そこに答えがあると信じ、問うていっても掘って行っても、そこには何も用意されていなかった、ということも多い。他人を探れば探るほど焦る。
結局、物語は独白で進めるしかないのである。誰も私にナレーションをつけてくれないし、他人は誰も吹き出しを出していない。
仕方ない。
嘘の吹き出しを押し付けるより、自己中な一人語りのほうが、全くもって自然で、健康的。
♫「Palco」ジルベルト・ジル